商売は、人と技術と信用でやるものなんだ!

喜納康光

2012年04月20日 09:00


宮城県被災地視察で得た学びは、私の潜在意識の中で脈動し続けて、
いつかここぞという場面に出会った時、その学びが活かされるのだと思う。


村上氏は、気仙沼で一番の寿司屋を営んでいたが、
氏の大きな店も、津波によって流されてしまった。

店は商店街と共に跡形もなく消え、生きていく術を失っていた。

しかし氏は、商店街の仲間から 「もうダメだ」 と聞く度に
「戦後、ご先祖様がマイナスから作り上げてきたこの気仙沼を絶対に復興させてやる!」と
逆に闘志が湧いた。

幸い、自宅だけは高台にあったためその難をのがれていた。
その自宅に配給物資が運ばれ、倉庫の代わりを果たした。

早朝には被災されたみんなのところへ食料を運び、ドラム缶で火を起こして、
みんなが起きて来るのを待ちながら、周辺の掃除をした。
倫理の教えをただひたすら実践していたら、
みんなから復興会長に任命された。

商店街復興の為に一生懸命に頑張った。
もうダメだと、諦めかけようとする仲間を励ました。

「商売は、人と技術と信用でやるものなんだ!」
「僕らはそれらを一つも失ってないじゃないか。 だから必ず出来る!」


そう言って周りを励まし続けた。

今回その村上氏の寿司屋で夕飯を頂いた。
とても美味しく、どこにも引けをとらない味だった。

プレハブの長屋商店街の小さなお店だった。
まだ辺りは商店街の様相を呈していず、
氏の店の明かりが、暗闇の中でほのかに灯っていた。

村上氏も同様に言った、

「このご恩は必ずお返しします」 と。

そして、

「美味しい寿司だけでなく、暖かい人々の心も頂いて帰って欲しい」 と。



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